※本記事はプロモーション(アフィリエイト広告)を含みます。
「持ち時間は10分でお願いします」。前夜に数えたら、資料は20枚ありました。
見返してもどれも必要に見える。自分で足したスライドは、全部「必要だと思って」足したからです。
結論から言います。削る候補を並べるのはAI、削るのは自分。時間は必ず自分で測る。
AIが得意なのはスライドをまたいだ重複——同じ主張や同じ数字が2枚以上に散らばっている状態です。他人には一発で見えて、自分にだけ見えない。
この記事を読むと、次のことができるようになります。
- 「スライドをまたぐ重複」の見つけ方と、枚数が減らない理由
- 時間・重複・結論・統合・付録——5観点の指示文テンプレ(コピペ可)
- 非表示スライド・セクション・リハーサルで仕上げる手順
- AIの時間見積もりを信じて4.8倍ズレた失敗の避け方
プログラミングは不要。追加のインストールもありません。
この記事で使うツール
無料のAIチャット+PowerPoint(追加インストール不要)
必要なもの:削りたいPowerPointファイルと、ブラウザで使えるAIチャット(無料枠でOK)。 できること:アウトラインのテキストを貼るだけで、スライドをまたいだ重複・結論に効いていないスライド・統合できる連番を一覧で洗い出す。削る作業自体はPowerPointの非表示スライドとセクションで行う。プログラミング不要。
なぜ20枚になるのか——不安が1枚ずつ足していく

枚数が増える原因は不安です。「突っ込まれたら困る」で1枚、「前提も要るかも」で1枚、「経緯も」で1枚。
足した瞬間はどれも必要でした。だから見返しても、自分では重複に気づけません。
スーツケースの荷造りと同じ。持ち時間は大きさの決まったスーツケースです。閉まらないのに、何を抜けばいいか分からない。
解決策はいったん全部を床に並べること。並べて初めて「同じシャツを2枚入れていた」と気づきます。この4工程を、パワポの機能とAIに割り振ります。
- 床に並べる → アウトライン表示
- 同じシャツが2枚 → スライドをまたいだ重複をAIに拾わせる
- 入らない分は別バッグへ → 非表示スライド+Appendixセクション
- 閉めてみる → リハーサルで実測
本命は「スライドをまたいだ重複」。1枚の中の崩れとは別物
パワポの資料チェックをAIに任せる方法|誤字・体裁・数字の点検術で扱った「1枚1メッセージの崩れ」は、1枚の中に主張が2つある話でした。
この記事は逆です。1枚ずつはきれいに1メッセージ。でも同じメッセージが3枚に分かれている。1枚ずつ見る限り気づけません。
点検の記事は「数字が食い違っている」を探しますが、この記事は「同じ数字を何度も出している」を探します。見た目を整える話とも違います。この記事で決めるのは「どれを残すか」まで。文字サイズや配置には手を入れません(そちらはレイアウトを整える記事で)。
20枚のダミー資料に重複を5種類仕込んで試すと、5種類すべてをスライド番号まで正確に拾いました。枚数を減らす案も具体的に返ってきます。
渡し方はアウトライン表示のコピー1回
アウトライン表示とリハーサルは、パソコンに入れたPowerPointの機能です(ブラウザ版にはありません)。
渡し方は点検記事と同じ。表示タブ→アウトライン表示→左のペインを全選択してコピー→メモ帳に貼ってダミー化。詳しい手順はパワポの資料チェックをAIに任せる方法をどうぞ。
注意
貼った内容はAI事業者のサーバーへ送られます。社名はA社、人名は担当者Aに。「どのスライドを残すか」を選ばせるだけなので、数字が本物である必要はありません。詳しい線引きは会社PCでAIを安全に使う方法を参考に。
ここで一つ、うまくいかない場合の話をします。
アウトライン表示に出てくるのは、スライドのタイトルと、本文(箇条書き)の文字だけです(執筆時点の公式ヘルプに明記されています)。
つまり、図形・表・テキストボックスの中に書いた文字は、コピーしても出てきません。実際に試したときも出てきませんでした。手元の資料を開いて数えてみたら、図形が21個あり、その全部がテキストボックス。中の文字は1つもコピーされませんでした。
コピーした中身が数行しかなかったときは、AIの力不足ではありません。資料がテキストボックスで作られているせいです。
5つの観点と、コピペで使える指示文

全部の指示文に次の前置きを付けます。とくに「持ち時間は◯分です」を書くかどうかで、答えが別物になります。
これから貼るのはプレゼン資料のアウトラインです。 持ち時間は10分です。 修正はしないでください。 元の文言・数字・固有名詞は1文字も変えないでください。 該当するスライドの一覧だけを返してください。 重要な順に10件までに絞ってください。 出力は【スライド番号 / 残す・統合・削るの3択 / 理由1行】でお願いします。
観点① 発表時間の超過
まず現状を数字に。「何分オーバーか」「何枚で収まるか」の2つだけです。
このアウトラインを声に出して読んだ場合の長さを見積もってください。 持ち時間10分に対して何分超えているかを、分で答えてください。 何枚まで減らせば収まるかも、枚数で答えてください。 スライドを減らす作業はしないでください。 出力は【現在の推定時間 / 持ち時間との差 / 収まる枚数の目安】でお願いします。
ここで出る分数は「多いか少ないか」の当たりを付けるためのものです。絶対値は当てになりません(後の失敗談①)。実測は最後のリハーサルで。
観点② スライドをまたいだ重複(この記事の本命)
効くのは「どれを1枚だけ残すか」まで選ばせること。並べるだけでは、こちらが悩み直すことになります。
スライドをまたいだ重複だけを探してください。 1枚の中の話ではなく、複数のスライドにまたがっているものだけです。 見るのは次の3点です。 ①同じ主張が2枚以上に書かれている ②同じ数字が2枚以上に出ている ③言い換えただけで中身が同じ見出し そのうえで、どれを1枚だけ残すかを選んでください。 出力は【重複している内容 / 出ているスライド番号 / どれを1枚だけ残すか / 理由1行】の表でお願いします。
単独で投げると拾いは細かくなります(5件が10件に)。ただし重複でないものまで混ざります(実績と目標のように、同じ数字でも重複ではないもの)。採否は人が決めます。
観点③ 結論に効いていないスライド
面白いかではなく、結論につながるかだけで判定させます。
まず、この資料の結論を一文で書き出してください。 そのうえで、その結論に直接つながっていないスライドを挙げてください。 面白いかどうかではなく、結論に効くかどうかだけで判断してください。 出力は【スライド番号 / タイトル / 結論との関係 / 残す・削るの案】でお願いします。
観点④ 統合できる連番
連続する2〜3枚は1枚にまとめられることが多い。タイトル案だけ出させます。
連続する2〜3枚で、1枚にまとめられそうな組を挙げてください。 内容が近い、同じ話の前半と後半、表とその補足、のような関係のものです。 まとめた後のタイトル案だけ書いてください。本文は書かないでください。 出力は【まとめる対象のスライド番号 / まとめる理由 / 新しいタイトル案】でお願いします。
ここは図解をAIで作る方法|資料に入れる一枚を時短で作る手順の出番。3枚を消さず1枚の図にするなら、情報を落とさず減らせます。
観点⑤ 付録(Appendix)に回すスライド
捨てるのが怖いスライドは後ろへ送ります。「削除ではなく付録に回す前提で」が肝です。
本編から外して付録に回せるスライドを挙げてください。 質問が出たときだけ見せればよい、細かい前提・補足データ・過去の経緯などです。 削除ではなく付録に回す前提で選んでください。 出力は【スライド番号 / タイトル / 付録に回してよい理由】でお願いします。
付録に回したスライドは、本番の質問への答えにもなります。どんな質問が来そうかを先に洗い出しておく方法はプレゼンの想定質問をAIで洗い出す方法|聞かれて詰まる穴を先に塞ぐにまとめました。
正直な失敗談:3回信じて、3回ともハズレた
失敗① AIの時間見積もりを信じた。
「音読したら何分何秒か断言して」と聞くと17分20秒。ストップウォッチで読んだら3分35秒でした。4.8倍のズレです。
AIは「1,040字÷300字/分=約3分28秒」と正しく計算した直後に「ではなく」と続け、根拠のない「間を1項目2秒×70回」を足していました。文字数はAIが1,040字、実測1,031字。読む速さも私の実測は287字/分で、前提そのものは大きく外れていません。それでもAIは、自分の正しい計算を打ち消して、根拠のない「間」を積み増しました。
失敗② 雑に頼んで、重複を見逃した。
同じ20枚を、前置きなしで「10分に収まらないので削って」と投げたことがあります。時間は分で出ず、重複5種類のうち1件しか指摘できず、頼んでいない批評を始め、最後は資料に手を入れる提案まで出てきました。
同じAI、同じ資料、違うのは前置きの7行だけ。これが前置きを毎回付ける理由です。
失敗③ 「決め手です」と言われて信じた。
タイトルが「投資回収シミュレーション」で、あとはグラフだけのスライド。AIは「承認の決め手になるスライドです」と断言しました。
でもAIはそのグラフを見ていません。見ていたのはタイトルの文字列だけです。
削ったあとは、パワポの機能で答え合わせ

ここからは自分の手です。ポイントはいきなり削除しないこと。
STEP1 非表示スライドにする。スライドを右クリックして「非表示スライド」。ファイルには残ったまま、スライドショーのときだけ出なくなります。いつでも戻せる安全装置です。
印刷は既定で出ませんが「非表示スライドを印刷する」で出せます。PDFはWindows版だけ「含める/含めない」を選べます(執筆時点)。
STEP2 セクションで付録にまとめる。スライドの間を右クリック→「セクションの追加」(Macはホームタブから)。付録行きをまとめて「Appendix」と名付けます。
矢印で折りたためるので本編だけが画面に残り、セクション名をドラッグすれば中のスライドごと丸ごと移動します。
STEP3 リハーサルで測る。スライドショータブの「リハーサル」。終了時に保存を選ぶと、スライド一覧に各スライドの秒数が出ます。
本番で勝手に進むのが怖いなら、記録を消さなくても「スライドショーの設定」→「スライドの切り替え」を「クリックした時」で無効化できます。
3分35秒と10分の差が、あなたの持ち場
実測で分かったこと。私の20枚(本文1,031字)を声に出して読んだら、3分35秒でした。
この資料なら、残りの6分25秒はアドリブと「間」。質問への即答、相手の顔を見て足す一言。そこはAIには見えません。
枚数を削るのは、内容を削ることではなくその6分25秒を取り戻す作業です。
削って残った要点から、スライドを作り直したいなら
枚数を削ったあと、残したスライドの見た目を整え直すのも手間です。イルシルは日本のビジネス資料向けに作られたAIスライドツールで、文章を入れると体裁の整ったスライドに起こしてくれます。削って残った要点から、スライドを作り直したい人向けの選択肢です。パソコン専用なので、PCのブラウザから試してください。
結論:明日からのチェックリスト
結論は一つ。AIは並べる係、捨てるのは自分。時間は測る。
- アウトライン表示でコピーし、社名・人名をダミー化した
- 前置きに「持ち時間は◯分です」を書いた(ないと分で返らない)
- 「元の文言・数字は1文字も変えない」を毎回付けた
- 本命の②では「どれを1枚だけ残すか」まで選ばせた
- 削る前に非表示スライドにして戻せる状態を残した
- 付録はセクションでまとめ、名前ごと後ろへ移動した
- 最後はリハーサルで実測した(AIの見積もりは信じない)
そもそも枚数が膨らまない順番の決め方はプレゼン資料の構成をAIで作る方法|スライド作成前のストーリー設計へ。
ポイント
AIが出すのは候補の一覧であって、削られた資料ではありません。どれが本番で効くかを知るのは、その場に立つ自分だけです。
Officeの点検をAIに任せるシリーズ
どれも「AIは見つける係、直すのは自分」の同じ考え方です。気になる資料から試してください。
- パワポの資料チェック(誤字・数字・体裁を点検する)
- パワポの枚数を減らす(持ち時間に収めて削る)←この記事
- パワポのレイアウトを整える(配布用と発表用で直す)
- Wordの文書チェック(前後の食い違い・参照切れを見つける)
- Excelの表チェック(合計に入っていない行を見つける)
次のアクション
「何を話さないか」を決められる人が、短い時間で信頼を得ます。削れる人が、任される人。
方向は3つ——体系的に学ぶ、資格で「できる」を可視化する、AIスキルが評価される環境を選ぶ。
まずは今日、手元の資料をアウトライン表示でコピーして観点②だけ試してみてください。見えていなかった「同じシャツ2枚」が番号付きで出てきます。
あわせて読みたい
プレゼン資料の構成をAIで作る方法|スライド作成前のストーリー設計
こちらは「作る前」の話。話す順番を先に決めておけば、そもそも重複するスライドが生まれにくくなります。作る前と削るとき、2本セットでどうぞ。

