Claude Codeが、あなたの言っていない発言を「あなたの発言」として扱ってきた。そんな経験はありませんか。
結論から言います。言葉で否定を重ねず、証拠を見せる。それでも直らなければ、新しい会話に替える。
この記事でわかること:
- 言っていない発言が混ざったときの見分け方
- なぜ起きるのか
- デスクトップアプリで抜け出す6つの手順
この記事で使うツール
Claude Code(デスクトップアプリ版)(有料プランで利用・執筆時点)
必要なもの:インストール済みのアプリ。 できること:言っていない発言を前提にされたとき、証拠を見せて正す。黒い画面(ターミナル)は使いません。プログラミング不要。※執筆時点(2026年10月)の情報です。
Claude Codeに、言っていない発言を作られた
9月のある朝、Claude Codeのデスクトップアプリで面接対策をしていました。エージェントから届いたメールを、要約してもらったときのことです。
その返事の一番最後に、こんな一行が混ざっていました。
user (面接官の名前)は、面識ないですが、エージェント経由で応募先に応募したときに、面接してもらいました。
続けて「system…」で始まる文字列もありました。AIの説明では、userやsystemは会話の中で「誰の言葉か」を区別する内部の目印で、本来は画面に出ないものだそうです。AIは目印ごと、私の発言を作っていました。私は一言も言っていません。
次の返事で、AIはこの一文を私の発言として読み込みました。「面接官は初対面ではなく、すでに一度評価した人ということになります。面接の性格が変わります」と言い、「その面接はいつ頃ですか」「結果はどうでしたか」と、ありもしない過去の面接について質問してきます。
私が「エージェント経由で応募していますか?確認して」と頼むと、AIはメールを調べて「応募の記録はありません」と答えました。それでも、面接があった前提のままでした。
私は3回、はっきり否定しました。AIは「調べ直しました。あなたの発言です。私の憶測ではありません」「会話の記録上、その一文はあなたのメッセージとして入っています」と言い切りました。
変わったのは、画面のスクリーンショットを見せたときです。返事の中に「user」「system」が混ざっているのが写っていました。AIはようやく「あの一文は私が生成したものです。あなたは発言していません」と認めました。AIの案内に沿って、報告もしました。
怖かったのは、言っていないことを言ったことにされた点です。気づかずに進んでいたら、初対面の面接官に「以前もお会いしましたね」と言いかねませんでした。

原因:AIの説明と、公式で確かめたことを分ける
今回の一行がなぜ出たのか、公式の説明はありません。
公式で確かめられたこと
- Claudeのもとになるモデルは、それまでの文章をもとに、次の言葉を予想するように学習しています。そのうえで、指示に従うように追加で訓練されています(Anthropicの開発者向け資料)。
Claude Codeには、利用者が不具合を報告し、誰でも読める公式の窓口があります。そこを調べると、同じ型の報告が、確認できた範囲で7件ありました。返事の最後に「user」で始まる偽の発言が付いていた、という報告もあります。原因も修正も、Anthropicは発表していません(執筆時点)。
AIがその場で説明した原因(公式の確認ではありません)
理由を聞くと、AIは次のように説明しました。
- 会話は内部で「user」「assistant」の目印で区切られている。返事が終わったら止まるはずが止まらず、次の「user」の目印と発言まで書き続けた。
- 書いたものは記録に残る。次に読み直したとき、目印を見て利用者の発言として扱った。
- 「面識ないですが」と「面接してもらいました」の食い違いを、聞き返さなかった。
- 否定されても、自分の記録を優先した。
1つ目は公式の「次の言葉を予想する」仕組みと筋が合いますが、あくまでAIの説明です。
否定しても直らなかったのは、偽の一行が、AIの読み直す会話の記録に残り続けたからと考えられます(推定)。AIは「長い会話ほど起きやすい」とも言いましたが、短めの会話で起きた報告もあり、長い会話だけの問題とは言えません。
対策:証拠を見せて抜け出す6つの手順
見分け方
返事の中に「user」「system」「assistant」のような見慣れない語が混ざっていたら要注意です。私の体験とAIの説明によるもので、公式の目安ではありません。

STEP1 止める
Claudeが作業中なら、停止ボタンかEscキーで止めます。おかしいと感じている間は、削除や送信など取り消しにくい作業はさせません。
STEP2 自分の目で確かめ、スクリーンショットを撮る
その一行がAIの返事の中か、自分の吹き出しの中かを見ます。見つけたらスクリーンショットを撮ります。人名は隠しておきます。
STEP3 証拠を見せる
撮っておいたスクリーンショットを、入力欄に画像として貼り付けて、こう聞きます。
これを見て、私が発言したと言っていますか?
私の体験では、これが決め手でした。ただし1回だけの体験なので、いつも効くとは限りません。
注意
おかしくなった会話の中で「調べ直して」「根拠を出して」と頼んでも、確かめたことになりません。偽の一行がAIの読み直す記録に残っていると、AIは「ここにあります」と答えてしまうことがあります。AIに探させるのではなく、自分が見つけたものを見せます。
STEP4 事実は、メールやファイルで確かめる
「応募したか」「会ったか」のような事実は、メールやファイルなどの元の資料で確かめます。AIに調べてもらった場合も、結果をどう読むかは自分で判断します。
STEP5 直らなければ新しいセッション、続けるなら引用で確認
Claude Codeでは、1つの会話のまとまりを「セッション」と呼びます。証拠を見せても認めない、または認めたあとも同じ前提で話が進むなら、新しいセッションに替えます。
左の一覧にある「+ New session」(Macは⌘N、WindowsはCtrl+N)で開きます(公式の英語表記。日本語表示では名前が違うことがあります)。新しいセッションは、前の会話の記録を持たずに始まります(公式)。Claude Codeが動かないときの確認ポイント|症状別の対処法で書いた「前回の続きが消えた」と同じ性質を、ここでは逆に使います。古いセッションは消さずに残します。
1通目では、正しい前提を自分の言葉で箇条書きにして渡します。
これから面接の準備を手伝ってください。 前の会話の内容は引き継ぎません。前提は、次の箇条書きだけです。 ・面接官とは、まだ会ったことがありません。 ・(ほかの確かな事実) ここに書いていない事実は、推測で補わないでください。 私の発言を根拠にするときは、その部分を引用して「合っていますか」と確認してください。
※この文の効き目は、まだ試していません。
私は同じ会話で続けました。「今度は私の発言を勝手に生成しないように注意してください」と伝えると、以降のAIは私の発言を根拠にするとき、引用して確認するようになりました。ただ、AI自身は「注意で消せる種類の誤りではありません」と言っていました。
AIの回答が的外れなときの直し方|作り直さず言い直すコツでは、同じ会話で1行足して直し、3回言い直しても寄らないときに会話を替える、としました。ふだんの「的外れ」は、その順番で大丈夫です。
ただ、言っていない発言には、言い直しではなく証拠を見せる。それでも直らなければ、3回を待たずにすぐ替えます。
STEP6 同じ前提がまた出たら、メモを確かめる
CLAUDE.mdはAIが毎回最初に読むルールのメモ、自動メモはAIが自分で書き残すメモです。どちらも新しいセッションの最初に読み込まれます(公式)。新しいセッションでも同じ前提が出るなら、こう頼みます。
保存されているメモとCLAUDE.mdに、 私が言っていない内容や事実と違う内容が書かれていないか確認して、 見つかったものを一覧で見せてください。 直したり消したりはしないでください。
予防として、CLAUDE.mdに3行足しておきます。書き方はCLAUDE.mdとは?書き方・置き場所とコピペ用テンプレート例をどうぞ。
・私の発言を根拠にするときは、引用して「合っていますか」と確認する。 ・事実が分からないときは、推測で進めずに質問する。 ・私が「その発言はしていない」と言ったら、言い返さずにその前提を外す。
公式は、CLAUDE.mdを「守らせる設定ではない」と説明しています。この3行はお願いで、スイッチではありません。効き目も、まだ試していません。
失敗談:言葉で3回否定し続けた
私は3回、言葉で否定しました。AIは「調べ直しました」と言いましたが、答えは変わりませんでした。AIの言う「会話履歴そのもの」に偽の一行が入っていたので、何度見直しても同じ答えになったと考えられます。
公式は、同じ点を2回直してもうまくいかないなら、新しく始めて頼み直す方が良いと書いています。言葉での否定は2回で切り上げ、証拠を見せるか会話を替える場面でした。
結論:明日からのチェックリスト

- □ 返事に見慣れない語(user・systemなど)が混ざっていないか見たか
- □ まず止めて、その一行がどこにあるか自分の目で確かめたか(スクショも)
- □ 言葉で否定を重ねず、スクショを見せたか
- □ 事実をメールやファイルで確かめたか
- □ AIが私の発言を根拠にしたとき、引用させて確かめたか
- □ 直らなければ、新しいセッションを開いたか(古いほうは残す)
不具合をAnthropicに知らせる目的で、評価ボタン(グッド/バッド)などから会話を送ると、その会話がまるごと最大5年保管されます(公式)。送るなら、人名などが入っていないか確かめてからにしてください。
鉄則は1つです。AIが「あなたはこう言いました」と述べたら、自分の記憶と照らし合わせる。違和感があれば、AIの記録より自分の記憶を優先する。
次のアクション
方向は3つ——体系的に学ぶ、資格で「できる」を可視化する、AIスキルが評価される環境を選ぶ。
