結論:AIに「いつもの」を覚えさせれば、毎回の説明は消える
AIは使いこなしているのに、なぜか作業が速くならない。
その正体は、毎回チャットの冒頭に打っている「同じ説明」だったりします。
「私は営業です」「読み手は忙しい役員です」「箇条書きで、専門用語なしで」——。
この前置きを、今週だけで何回打ち直したでしょうか。
コンビニで毎回「温めますか?袋は?」と全部聞かれるのが一見客。常連は「いつもの」で通じます。
テンプレ化とは、AIにあなたの「いつもの」を覚えさせる仕組み作りです。
この記事を読むとこうなります。
- 毎回打っている「同じ説明」に気づける
- うまくいった指示を、再利用できる「型」に変換できる
- 会社のPCでも安全に使える保存場所が分かる
- 使うほど賢くなる「育てるテンプレ」の習慣が身につく
この記事で使うツール
ChatGPT/Claude/PCの単語登録(すべて無料枠で始められます・執筆時点)
必要なもの:普段使っているAIとPCだけ。 できること:毎回の説明を一度登録して、打ち直しをなくす。 プログラミング不要です。
なぜ「型」を作るのか|魚をもらうより、釣り方を覚える
世の中には便利な「プロンプト集」があります。他人が作った完成品の型をコピーして使えるものです。
あれは「魚をもらう」ようなもの。でも、あなたの仕事はあなた専用で、他人の型とは微妙にズレます。
だからこの記事で目指すのは、自分専用の型を作って保存し、育てていく「釣り方」です。
やることはうまくいった指示を再利用するだけなので、難しくありません。
ステップ1|テンプレ化する仕事を見つける
まず、テンプレにすべき仕事を見つけます。
やることは1つ。今週AIに頼んだことを思い出し、「同じ説明を2回以上打ったもの」に印をつけるだけです。
狙い目は3種類です。
- 毎回同じ前提(自分の役職・読み手が誰か)
- 毎回同じ出力形式(議事録の要約・週報のフォーマット)
- 毎回同じ文体の注文(です・ます調・専門用語なし)
ここで大事なのは、最初は上位3つだけに絞ること。
全部を一気にやろうとすると挫折します(後述の失敗談で痛感しました)。
ステップ2|うまくいった指示を「型」に変える
ここが記事の核心。出発点は「うまくいった指示をそのままコピーして保存」すること。ゼロから書きません。

ステップ2-1|その日だけの中身を【 】に置き換える
固有名詞や、その日限りの内容を空欄にします。
たとえば「A社への提案書を作って」なら、
→「【送付先】への【資料の種類】を作って」に変えます。
これで来週も再来週も使い回せる骨組みになります。
ステップ2-2|前提・指示・制約の3部構成に並べ替える
次に、3つのパートに整理します。
- 前提(固定)=「私は【業界】の営業。読み手は多忙な役員」
- 指示(毎回差し替え)=「下の議事録を要約して」
- 制約(固定)=「箇条書き5行以内・専門用語なし・です・ます調」
ポイントは、上と下(前提と制約)は固定したまま動かさないこと。
毎回打ち直すのは、真ん中の「指示」1行だけになります。
3〜4行あった前置きが、たった1行の入れ替えで済む。これが楽になる理由です。
この3部構成は、AIに1回で伝わる頼み方の4点ルールを、毎回書かなくていいよう「固定」した発展形です。
ステップ3|保存場所の選び方(会社PCで使える順)
作った型は、すぐ呼び出せる場所に置きます。会社PCでも安全に始められる順に紹介します(2026年7月時点)。
ポイント
いちばん手堅いのは「単語登録(ユーザー辞書)」。インストール不要でPCに最初から入っているので、会社の環境でも始めやすいです。
①単語登録/ユーザー辞書(最優先)
Windowsの「Microsoft IME」、Macの「ユーザ辞書」に、短い読みで定型文を登録できます。
読みは「zzようやく」のように普段打たない文字で始めると、変換の誤爆を防げます。
②メモアプリに指示書を1枚
手軽ですが、クラウド同期には注意(下の注意参照)。
③AIツール自身の設定(打ち直しを根本からなくす)
- ChatGPTの「カスタム指示」=自分の立場や出力形式を登録すると全会話に自動反映。無料を含む全プランで使えます。
- ChatGPTの「メモリ」=会話から自動で覚えてくれます。無料にも開放済み。
- Claudeの「プロジェクト」=案件ごとに指示を保存。無料でも最大5つまで作れます。
なお、Copilotのカスタム指示やメモリは会社契約のプラン前提の機能が多く、使えるかは会社の環境次第です。
ステップ4|テンプレは「育てる」もの
ここが、ただのコピペと違う部分。最初から完璧を目指さず、60点の型でまず使い始めてしまいます。

失敗したら、制約を1行だけ足す。
- 要約が長すぎた → 「300字以内」を追加
- 英語が混じった → 「日本語のみ」を追加
使うほど、あなた専用に賢くなる。
これが「作るテンプレ」ではなく「育てるテンプレ」の発想です。
あとは月1回、使わない型を消して棚卸しすれば十分です。
正直な失敗談|3つのつまずき
失敗1:同じ前置きに、長いこと気づけなかった。
毎回同じ3〜4行を打っているのに無自覚でした。ある日「これ、登録できるやん」と愕然。すぐカスタム指示と単語登録に移しました。
失敗2:完璧な長大テンプレを作り込んで、使わなくなった。
気合を入れた超大作は、想定と違う場面ばかりで出番なし。「うまくいった1回を保存→少しずつ足す」に切り替えたら、使える型が増えました。
失敗3:取引先名入りの”完成版”を個人メモに保存してヒヤッ。
実在の固有名詞をそのまま保存していて、後から冷や汗。今は【 】のまま保存するルールにしています。
注意
テンプレに機密情報や実在の固有名詞を入れず、必ず【 】の空欄のまま保存しましょう。個人アカウントのメモやAIに会社の情報を置くのは、規約違反になる場合があります。
会社の情報をAIに扱わせる際の線引きは、仕事でAIを安全に使うための注意点で詳しくまとめています。始める前に一度目を通すと安心です。
まとめ|明日からのチェックリスト
- □ 同じ説明を2回打った仕事に印をつける
- □ 手をつけるのは上位3つだけに絞る
- □ 固有名詞を【 】に置き換える
- □ 前提・指示・制約の3部構成に並べる
- □ 単語登録かカスタム指示に保存する
- □ 機密は空欄のまま保存する
- □ 失敗したら制約を1行足す
鉄則はひとつ。テンプレは作るものではなく、育てるもの。うまくいった一回を保存し、失敗するたびに一行足す。それだけです。
「型のネタ」そのものが欲しいときは、コピペで使えるプロンプトのテンプレート集から気に入った型を借りて、自分用に育てるのも近道です。
次のアクション
毎回の説明をなくすだけで、AIを使う時間は目に見えて縮みます。
この「仕組みで楽をする」感覚こそ、これからの働き方で評価されるスキルです。
方向は3つ——体系的に学ぶ、資格で「できる」を可視化する、AIスキルが評価される環境を選ぶ。


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